見逃し

坂田三郎

「日本の撃墜王」

と称される、旧日本海軍中尉・坂田三郎さん。

第二次世界大戦時、彼は日本のエース・パイロットとして様々な戦地へ赴き、作戦に従って多くの敵機を撃墜。

連合軍にもその名を知られるパイロットでした。

しかし、そんな彼も軍の命令に従わず、敵機を見逃した経験があります。

ゼロ戦

1942年、ジャワ島にある敵基地を侵攻する途中で、彼は敵の偵察機を発見。
単独行動をとってそれを撃墜します。
そして、さらに日本軍から逃れようとする大型輸送機を発見し、これを追跡しました。

当時、この地域を飛行する敵機であれば、相手が兵士であろうが、民間人であろうが、武器を積んでいようがなかろうが、すべて撃墜せよとの命令が出ていました。

輸送機

しかし、彼は敵機の中に重要人物が乗っているかも知れないと考え、日本軍の基地に誘導してやろうと、輸送機の横に機体を並べます。

その時、彼の目に思いもよらない光景が映ります。
それは、彼の機体を恐れて震える女性や子どもの姿でした。

彼は、その様子を見て、逃がそうと判断。
手を振ってその場を離れ、上官には雲中に見失うと報告したそうです。

戦後50年ほど経ったころ、大型輸送機に乗っていたオランダ人の元従軍看護婦が
「あのときのパイロットに会いたい」と、国際団体に照会を求めました。

そして、パイロットがあの坂井三郎であると知ると、とても驚いたそうです。
その後2人は再会し、無事に生きていることを喜びあったといいます。

当時は上官の命令は絶対で、命令に背けば重大な規律違反で処罰されます。
その状況のなかでよく見逃しましたね!

戦時中は「人道的な立場」なんて無い時代!

事実、何の罪も無い民間人が、おびただしく殺されています。
そんな時代に『敵は憎めど人は憎まず』の気持ちを持てた坂田さんは、人間としても素晴らしい方だったのでしょう!


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